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2007年10月11日

違法な収入も課税対象

税の収入金額には違法なものも含まれます。

所得税基本通達には次のように規定されています。
(収入金額)
36−1 法第36条第1項「収入金額とすべき金額」又は「総収入金額に算入すべき金額」は、その収入の基因となった行為が適法であるかどうかを問わない。

これは、経済的に見てその利益を支配管理していることに着目して課税対象にしているものです。

むかしは、窃盗、強盗、横領の場合は所有権が移転しないので所得としないこともありましたが、現在ではその場合も課税されます。

その収入のもとになった行為が適法であるかどうかを問わないで
課税し、後日、裁判等で取消し、契約の合意解除、刑事裁判による追徴金の徴収等の事実が発生した時に、訂正(更生)すればよいという考えです。

これは、犯罪者にとって非常に怖い取扱いです。

犯罪で得た利益を返すか、返さなければ課税され、納税しなければ脱税になります。
脱税犯として処罰されるかも知れないのです。
泥棒を捕まえて、多額の預金を押さえた場合、その一部しか犯罪の事実を証明できなくても、その他の部分は課税対象にできるのです。

本当に税はよく考えていると思います。

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posted by 森 大志 at 10:10| Comment(6) | 税一般

2007年10月04日

法律解釈の社会通念

税の判断によく社会通念ということばが出てきます。

社会通念とは、「社会一般に行われている考え方」(大辞林)「社会一般に通用している常識または見解。法の解釈や裁判調停などにおいて、一つの判断基準として用いられる。」(大辞泉)といわれています。

税の解釈の指針である通達の具体的適用に当たっても、「法令の規定の趣旨、制度の背景のみならず条理、社会通念をも勘案しつつ、個々の具体的事案に妥当なる処理を図るように努められたい。」(所得税基本通達の制定について)というように社会通念を勘案して判断するようにいわれています。

ここで、大切なことは社会通念は固定的なものではなく、その時代背景等で変わることです。

例えば、社員旅行の取扱いですが、通達では、
1.当該旅行に要する期間が4泊5日以内である。
2.当該旅行に参加する従業員等の数が全従業員の50%以上である。
の基準を満たせば福利厚生費として認められことになっています。

しかし、この通達には金額がかいてありません。

その金額の判断に社会通念を当てはめるのです。
赤信号みんなで渡れば怖くないということばがありますが、みんながどの程度の社員旅行を行っているかが判断基準になるのです。

ですから、バブルの時は社員旅行も派手でしたから、多少贅沢な旅行も認められていました。
しかし、現在では10万円程度までとよくいわれていますが、変わるかも知れません。

このように、社会通念は税の解釈においてよくつかわれているのです。

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posted by 森 大志 at 12:15| Comment(10) | 税一般

2007年09月27日

経済的利益

経済的利益とは、使用者等から受ける金銭以外の物又は権利等の利益をいい、実質的に受けた利益のことです。

少額では非課税ですが金額により課税されることがあるので要注意です。

例えば、
1.物品その他の資産の譲渡を無償又は低い対価で受けた場合における時価と対価との差額

2.土地、家屋その他の資産の貸与を無償又は低い対価で受けた場合における通常の対価との差額

3.無利息で金銭の貸付けを受けた場合における通常の利率との差額

等々実際の評価額と支払額との差額をいいます。

実際の税の現場では、同じ様に従業員に会社の商品を値引き販売する場合でも非課税の場合と課税の場合があるので、実際の売買には十分注意してください。

会社が70円で仕入れた商品(定価100円)を従業員に70円で売っても、経済的利益(定価との差額30円)には課税されません。
しかし、同じように不動産業者が700万円で仕入れたマンション(売価1000万円)を700万円で売ったら、経済的利益300万円には課税されます。
同じ3割引ですが違うのです。

もし、これを認めると給料を払う代わりに会社の商品を安く譲り渡して、給料に対する税金を払わないことが可能になります。

このように、税と言うのは名目ではなく実質で判断するのです。

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posted by 森 大志 at 10:30| Comment(6) | 税一般

2007年09月24日

税の統一解釈「基本通達」2

税の統一解釈のために国税庁長官が「基本通達」を公表していることは、前回書きましたが、実際の内容について簡単に説明いたします。

例えば、所得税法第26条は不動産所得について次のとおり規定しています。

第26条 不動産所得とは、不動産、不動産の上に存する権利、船舶又は航空機(以下この項において「不動産等」という。)の貸付け(地上権又は永小作権の設定その他他人に不動産等を使用させることを含む。)による所得(事業所得又は譲渡所得に該当するものを除く。)をいう。

2 不動産所得の金額は、その年中の不動産所得に係る総収入金額から必要経費を控除した金額とする。

そして所得税法基本通達には、次のとおり規定しています。

基本通達26−2 (ケース貸し)
いわゆるケース貸しは、不動産の貸付に該当する。

基本通達26−5 (広告等のため土地等を使用させる場合の所得)
広告等のため、土地、家屋の屋上又は側面、へい等を使用させる場合の所得は、不動産所得に該当する。

この例のように、所得税法には不動産所得とは不動産等の貸付けによる所得としか規定されていません。

実際の税の現場において、「ケース貸し」や「広告等のため土地等を使用させる場合の所得」について何所得に該当するか迷うかも知れません。
そのようなことがないように、通達において規定されているのです。

本当によく考えられていると思いませんか。

税はこのように公平に課税が行われるように規定されているのです。

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posted by 森 大志 at 10:30| Comment(0) | 税一般

2007年09月20日

税の統一解釈「基本通達」1

租税法律主義により税は法律で規定されていますが、その法律の解釈の指針として基本通達が定められています。

これは、国税庁長官名で公表されている、税の執行にあたり、この法律の何条はこのように解釈するという規定であり、税務署員が守らなければならない規定です。

例えば、法人税基本通達においては、
「この通達の具体的な運用に当たっては、法令の規定の趣旨、制度の背景のみならず条理、社会通念をも勘案しつつ、個々の具体的事案に妥当する処理を図るように努められたい。
いやしくも、通達の規定中の部分的字句について形式的解釈に固執し、全体の趣旨から逸脱した運用を行ったり、通達中に例示がないとか通達に規定されていないとかの理由だけで法令の規定の趣旨や社会通念等に即しない解釈におちいったりすることのないように留意されたい。」と法律解釈の原則を明らかにしています。

従って、法律の解釈において東京でこのように解釈するが、大阪ではこのように解釈するという違いがないようにしているのです。

年金未納問題で、相手の雰囲気等で判断するという、信じられないことが報道されましたが、税務署員によって解釈に違いがないように考えられているのです。
本当によく考えられていると思います。
先人の知恵ですね。

このように、税法は公平公正を旨に考えられています。

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posted by 森 大志 at 08:30| Comment(0) | 税一般

2007年09月17日

収入金額と必要経費

収入金額とは収入すべき金額を言います。
従って、実際に受けとっていなくても、実際に仕事が完了し請求することができる金額です。

相手方に請求しているかどうかは関係ありません。
その事実が発生しているかどうかで判断します。
(発生主義と言います。)

また、いつ請求することができるかは、それぞれの取引の性質、慣習、契約の内容で判断します。

例えば、会社が無利息で貸付をしている場合、貸付期間に応じ利息を計算し、利息相当額は収入金額に計上することになります。

必要経費(法人の場合は損金)は、前に説明した通り収入を得るためにかかった経費です。
(税の考え方「説明責任と必要経費」参照)

実務上、注意することは領収書等で支払の証明をするのはもちろんですが、たとえ領収書等があっても、相手方が税務申告していない場合は、証明責任を果たせないことです。
ただし、支払の事実が確認できれば、相手の申告もれになります。

架空の領収書等ではだめなのです。

また、実際に支払っていても、領収書等がない場合も証明責任が果たせないのです。

ですから、きちんと税務申告しない人に支払いをする場合、銀行振込にするとか、工夫が必要なのです。

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posted by 森 大志 at 10:20| Comment(0) | 税一般

2007年09月13日

脱税、租税回避と節税

脱税とは不法に税の負担を逃れることを言いますが、不法ですから、これは犯罪です。
そして、不法かどうかですから、手元の現金の有無は関係ありません。
また、納税義務は憲法に規定している原則ですから、重罪です。

租税回避とは、形式的には合法的な行為であるが、経済的合理性を欠く行為を行い、その結果として税の負担を不当に回避又は軽減することです。
通常では行わない行為を行い結果として、税を減らしたり納めないのですから好ましいことではありません。

これは、合法的な行為ですから犯罪ではありませんが、租税正義に反します。

また、税法の規定の範囲内で経済的合理性のある行為を行い、結果として税を軽減する節税とは違います。

租税回避行為を認めると納税者間で税額に差が出て著しく不公平ですから、租税法律主義の観点から細かく規定し、租税回避行為ができないようにするのが望ましいのです。
しかし、経済は生き物ですべてをカバーできないので、その隙間を実質課税の原則の適用でカバーしています。
租税法律主義実質課税の原則については前に書いていますので参照してください)

税は難しいですが、客観的にそのような行為を通常行うか考えれば良いのです。
通常行う行為の場合は節税、通常行わない行為の場合は租税回避とも考えられます。

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posted by 森 大志 at 08:00| Comment(13) | 税一般

2007年09月10日

証明責任と必要経費

証明責任(しょうめいせきにん)とは立証責任(りっしょうせきにん)または挙証責任(きょしょうせきにん)とも呼ばれますが、裁判の中で、裁判官に事実の有無を証明する責任を言います。(以下、ここでは証明責任といいます)

刑事訴訟法においては国(検察官)が証明責任を負っています。
皆さんが、テレビでよく見る裁判シーンで検察官が裁判官に証拠を示しながら、説明しています。
被告人が、犯罪を行ったのは間違いないと、指紋、目撃者の証言等客観的事実に基づいて証明するのです。

税はどうでしょうか。
税のうち私たちが自分で計算し申告納税する税金、例えば所得税、法人税、消費税等は一義的には私たち(納税者)に証明責任を課しています。

もし、国(税務署長)に証明責任を課したら税務署員が何人いても足りません。
私たちに証明責任があるのは当たり前のことだと思います。

必要経費(法人税では損金)は読んで字のごとく、収入を得るためにかかった経費をいいます。
所得税では、収入金額から必要経費を控除して所得金額を計算します。
同様に法人税では益金から損金を控除して所得金額を計算しますが、基本的な考え方は同じです。

私たちは、この必要経費(損金)の内容について、証明責任を
負っています。
ですから、領収書等(領収書、納品書、請求書、銀行振込の控え等)を保存し証明できるようにしているのです。

そのように考えますと、領収書の宛名が書いてないと誰が支払ったか証明できないし、内容が書いてないと何の支払いをしたかわからないのです。

証明するために領収書等があると言う理解があれば、内容の書いてない領収書を貰ったときに、内容を書いてくださいと依頼するはずです。

税は難しいですが、このように、少しでも税の考え方を理解して頂ければ間違いを減らせるのです。

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posted by 森 大志 at 08:30| Comment(2) | 税一般

2007年09月06日

性善説と性悪説

税を違った面から考えてみたいと思います。

人間の本性について「性善説」と「性悪説」の二つの説があります。

「性善説」とは人間の本性は善であり仁・義を先天的に具有すると考え、それに基づく道徳による政治を主張した孟子の説(広辞苑)です。

「性悪説」とは人間の本性は悪であるとして、礼法による秩序維持を重んじた荀子(じゅんし)の説(広辞苑)です。

税法はどちらかと言うと「性悪説」に基づいていると思います。

もし、「性善説」であれば基本的なことだけ規定すればよいのです。
しかし、それでは法の隙間をぬって税金を納めない人が増えるのです。

だれでも、できれば税金は払いたくないのが本音だと思います。
ですから、租税回避ができないように、細かい規定を置いています。
それが、税法が複雑になる原因の一つです。

前に書きましたように、「租税法律主義」ですから規定がないと課税できません。
ですから細かく細かく規定しているのです。

それでも、経済は生き物なので法律の改正が間に合わないことがあります。
そういう時に、それを補う考えのひとつとして「実質課税の原則」があります。
実質で判断して、法律に該当するか考えるのです。

税は本当に難しいのですが、よく考えて出来ていると思います。

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posted by 森 大志 at 13:09| Comment(1) | 税一般

2007年09月03日

実質課税の原則とは

税の基本原則として実質課税の原則があります。

これは、契約の有無にかかわらず、その行為等の実質で判断するという原則です。
大学の税法のゼミでは、法形式より経済的実質で判断するという意味だと教わったように記憶しています。

たとえば、今問題になっている厚生労働省の前九州厚生局長の事例で考えますと、次のようになります。

法形式では、社会福祉法人の前理事長から前九州厚生局長はお金を借りました。
しかし、2003年に借入してから2007年の現在に至るまで、一円の返済もありません。

このような場合、税の実務では、通常は前理事長から前九州厚生局長に貸した時点で贈与があったとみなされます。
これを借入と認めると、実際は収入であったものを借入と言って税を逃がれる行為を認めることになります。

ただ、前九州厚生局長が言っているように本当に借入で、退職金で一括返済しようと思っていたと言うことが事実であれば、少なくとも、記録が残るように利息を払い、退職金が入金したら直ちに返済するという行為がなければ常識的におかしいのです。

税も、最後は客観的にみてどうかということが重要な判断材料になるのです。
常識で考えればよいのです。
そう考えれば難しいことはないのです。

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