居住用財産(その居住の用に供している家屋又はその敷地の用に供されている土地等)を譲渡した場合に3000万円の特別控除が受けられます(租税特別措置法第35条)が、この内容について考えます。
これは、「居住用財産の処分は一般の資産の譲渡に比して特殊な事情にあり、担税力が弱いこと等を考慮して、その家屋又は土地等の譲渡について、3000万円の特別控除を認めることを定めたものである。」(第一法規滑ァ、コンメンタール所得税法)
と言われています。
具体的には、3000万円で買った自宅(土地建物)を5000万円で売った場合に、その譲渡益2000万円(厳密には建物の減価償却費を計算しますが今回は無視して計算します。)に対して特別控除2000万円(最高3000万円、譲渡益の金額を限度とします。)が認められ、課税所得がゼロになる特例です。
譲渡代金5000万円−取得費3000万円=2000万円
譲渡益2000万円−特別控除2000万円=0
このような特例がどうして認められているのでしょうか。
「担税力が弱いこと等を考慮して」がキーポイントになります。
この特例は自宅を売った場合に適用がありますが、みなさんが自宅を売る場合を考えてください。
自宅というのは自分が住んでいる家ですから、自宅を売った場合次に住む家を買うのではないでしょうか。
上記の場合、自宅を5000万円で売ったので儲かったのですが、売った家と同じ程度の家を買う場合、やはり5000万円かかるのです。
そうすると、次に同じ程度の家を買った場合、購入するのに5000万円(諸費用は無視しています。)必要ですから、購入すると手元にお金は残りません。
こういう場合に、課税され税金を払わなければならないとしたらどうでしょうか。
税金を払うことにより、前より狭い家等に住むことになります。
ですから、担税力(税金を払う能力)が弱いと言われるのです。
また、5000万円で売れた訳ですから、譲渡益2000万円が発生しましたが、これは物価の上昇が原因だとすれば、名目的な利益です。
売った自宅を今買って、同じように譲渡したとすれば次のような計算になります。
譲渡代金5000万円−取得費5000万円=0
このような事情があるので、居住用財産を譲渡した場合は特別控除を認めているのです。
そして、うれしいことに「宥恕規定(ゆうじょきてい)」まであるのです。
(税理士森大志の税の考え方「血も涙もある宥恕規定」参照)
このように、税というのは厳しいだけではなく、納税者に対する配慮もあるのです。
最近の改正は変なものもありますが、本当に税法と言うのはよく出来ていると思います。
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2008年01月27日
居住用財産の譲渡
posted by 森 大志 at 15:43| Comment(2)
| 所得税(個人の税金)
困らされています。
民間による都市開発事業で70有余年住んでいた家を立退きました。新快速の止まるJR駅から徒歩1分、其処にはお年寄りに優しいマンションが建ちます。でも高くて入れません。
居住用財産の特例を受けようとしましたが、登記された持家でない事を理由に、事実的にはそれも含めて全てをクリアしていても却下されました。
コメントありがとうございました。
具体的な内容がわかりませんので、何とも言えませんが、市役所、税理士会などの無料税務相談所などで相談してみたらどうでしょうか。
違う人の説明を聞くのもよいと思います。